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或る男のハナシ②

2012.12.07 21:34|ひろみん
俺の心は、例えば砂漠だ。どこまで掘ったって、何も出て来やしない。どうせその中には何も残ってない。
砂、砂、砂。それだけ。
そういえば昔、安部公房の『砂の女』ってのを読んだことがあったな。主人公が昆虫採集に行くんだけど、気付いたら辺り一面砂だらけの世界っていうキチガイ染みた話なんだけど。まぁそれなら俺は「砂の男」とでもいうところだろうか。



どうしたってオアシスを求めてしまうんだ。欲して止まないんだよ。それはよくドキュメンタリー番組なんかで観る子供たちの輝きを伴うものじゃなくて、渇きからくるそれだ。字の通り渇望と呼ぶに相応しい。
まるでブレーキを丸ごと失った車のようなポンコツな心。この手があの未来に届くわけがないと、知ってしまったんだよ。



この姿を照らし出す、頭上に居座り続けるアイツが眩しくて眩しくて、二つの目玉を一緒にぐちゃぐちゃにして潰したくなる。
いや、アイツだけじゃない。家族が楽しそうに笑い合うナントカハウスのCMも、退屈そうにゴシップが踊るスポーツ紙だって、もう既に俺の孤独を掻き立てるモノでしかないのかも知れない。
この瞳には、ほとんど全てがモノクロームにしか映ってくれないから。



驚くかも分からないが、こんな男だって好きな女と手を取り合ったりしたことはある。それこそ、あのときの二人は確かに「輝いて」いたのだと思う。ただ、今はもう厚い雲が覆い被さって、中身は湿気っているんだろう。
あの物欲しげな瞳も、少し低めの声も、クセッ毛だから、といつも気にしていた髪だって、ここには、無い。
置き去りになった「サヨナラ」がプカプカそこら辺を浮かんでいるだけ。紫色した煙によく似て。



幾ら言ったところで分かってもらえないことは分かってるさ。でも、少しだけ、ほんの少しだけ期待して綴ってみたんだ。オアシスの気配をうっすらと感じた気がしたんだ。まぁちょっとくらい許してくれるだろう。

甲斐性のない、ある男のハナシだよ。
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